小学校1年生の秘密

誰にも言えないことってあると思います。

私にも一つや二つくらいあります。


秘密という言葉。


その言葉自体からはある種の胡散臭さを自分は感じてしまいます。
鉄筋のような固さにも伺えるが、豆腐並みにもろい側面も垣間見える。
秘密を共有する人との信頼を量るものさしにもみえます。

人は一体どれくらいの秘密を共有できるのか。

小学一年生の頃、同級生と秘密を創りました。
当時私は非常に活発で、うるさい小僧でした。
クラスではそんなうるさい奴らと一緒につるんでいました。


もちろん、おとなしいグループもあります。別に仲が悪いとかはありませんでしたが、交わることもなかったのです。

早川という少年がいました。

ワカメヘアーのおどおどした少年で、クソザルみたいな私とは気が合いませんでした。

よく早川はお漏らしを当時してました。
今でこそ各々成長発達の違い、子どもの置かれた環境によって不安定感の増減等について、多少なりとも理解しているつもりです。

だけど、小学校一年生です。

早川はお漏らしをしてはよく笑われてました。

そんなある日でした。
私がずる休みした日。
事件が起こりました。

次の日の体育。
みんな体育大好きで、一斉に体操着に着替えます。
私も着替えます。
なんか濡れてる。
びしょびしょじゃないんですが、湿って臭い。

近くの友人に尋ねました。
「昨日誰か俺の体操着使った?」
「早川じゃね、忘れて使ってたよ」

まさかね
まさか...

あのやろう。

早川を見ると、なんだか申し訳なさそうな顔をしてるんです。

あのやろう...
文句言えないだろうが。


私だけじゃないと思うのですが、生きているとすごいことが時折起こります。
奇跡みたいな出来事が。
それは大なり小なり、悪いことも良いことも含めて。
これを誰かが運命と呼び、誰かが必然だと呼んだりしたのでしょうか。

濡れたままの体操着で体育に望み、無事こっそり洗濯機にいれたのを、なんだか思い出しました。

でもだからって早川と仲良くはならなかったですね。
ずっと、小学校卒業までなんだか気まずかったです。
むしろ気まずかったというか、早川、謝りにこいと。

待ってます。