motherdiary3

2014.5.18

太一、13時に出る。14時のバスで東京へ。

また再来週、会いに来てくれるとのこと。

洗濯、そうじ、風呂に入って読書。

19:30、悟が車で病院へ送ってくれる。

悟は昨日吉村さんのライブで東京へ行って今日帰ってきた。
とても楽しいときを過ごしたようです。
上野動物園のパンダがとてもかわいかったようで、パンダのマシュマロをおみやげにもらいました。

3月のライオン1~9巻読了。

motherdiary2

2014.5.17
くもり風強し

朝8時、朝食なしで歩いて帰る。
とても肌寒し。
太一が待っていてくれた。
10時30分、モールに行って、ちかちゃんの誕生日プレゼントを買う。
共進軒にて味噌ラーメン、チャーハン。
ママはチャーハンを半分。
そのあとモスでホットを飲む。
太一、くつをみたいというので伊勢丹に行く。

ケーキを買い実花宅に行く。

海の原っぱに行ってみんなで遊ぶ。


17時にもんじゃ、みんな太一のごちそうです、どうもありがとう。

motherdiary1

2014.5.16
くもり、風とても強し
2:30 先生より放射線治療の説明あり

電車がガタゴト走ります。

ガラス窓1枚の向こうにガタゴトの世界があります。
今はママの子守唄。

昼に太一、まこ、少し遅れて実花までなっちゃんをおんぶして来てくれました。

昨日はママの見舞いのあと、4人で居酒屋に行って帰りにbarに寄ってカクテルを悟のごちそうで味わったようです。
もちろん実花もなっちゃん連れて。


居酒屋ではみんなでママのために泣いてくれたようです。
夕方、太一が来てくれたのでうちあけてくれました。

土日の外泊許可をもらいました。

星の王子の日記

久しぶりに書きます。
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母がガンになったとき、私は日記をプレゼントしました。星の王子様の5年日記を。


なくなった後の遺品整理で見つかりました。


生前、死んだら読むからそのつもりで、と笑いながら会話をしてました。


兄妹、順番に読んでます。
やっと俺の番。


ここ数週間、涙がとまりません。



少しずつ載せます。名前は変えてますが、それ以外は私の母の声です。

バスの思い出

地元を離れてから、たまには母親の家に帰りました。

お金がないから毎回深夜の高速バスです。


私は寝つきが悪くて、バスじゃ寝れなくて。
だいたい深酒してバスに乗ってました。
乗った瞬間に寝つき、気づいたら地元。


今でこそ3列シートが主流かもしれませんが、当時は4列シートが当たり前。

乗車前に深酒してたから隣の人、嫌だったろうなと。

でも個人的にはがんばって気を使ってたんです。
静かにそっとしてますから。
バスの中とはいえ、一期一会の出会い。
こちらも迷惑かけたくない。
マスクして、帽子を深くかぶり、私もう寝ますんでとアピールしてました。

だいたい寝れます。
でも私なんかより強者、たくさんいました。

最初からビール飲む人(私は飲んでた人)。

歯ぎしりがひどい人(歯ぎしりって何でなるんですかね?)。
あとイビキ。

やっぱり3列シートってすごいなぁと。
きっと4列シートだとトラブルあったのかなぁ。

もう自分も家族を抱えてしまったので、なかなか深夜高速バスを使う機会がありません。

たまに無性に乗りたくなります。

あれは、なんでしょう、ノスタルジックな気持ちになりますね。

今度は素面で窓側、3列シートで。

小学校1年生の秘密

誰にも言えないことってあると思います。

私にも一つや二つくらいあります。


秘密という言葉。


その言葉自体からはある種の胡散臭さを自分は感じてしまいます。
鉄筋のような固さにも伺えるが、豆腐並みにもろい側面も垣間見える。
秘密を共有する人との信頼を量るものさしにもみえます。

人は一体どれくらいの秘密を共有できるのか。

小学一年生の頃、同級生と秘密を創りました。
当時私は非常に活発で、うるさい小僧でした。
クラスではそんなうるさい奴らと一緒につるんでいました。


もちろん、おとなしいグループもあります。別に仲が悪いとかはありませんでしたが、交わることもなかったのです。

早川という少年がいました。

ワカメヘアーのおどおどした少年で、クソザルみたいな私とは気が合いませんでした。

よく早川はお漏らしを当時してました。
今でこそ各々成長発達の違い、子どもの置かれた環境によって不安定感の増減等について、多少なりとも理解しているつもりです。

だけど、小学校一年生です。

早川はお漏らしをしてはよく笑われてました。

そんなある日でした。
私がずる休みした日。
事件が起こりました。

次の日の体育。
みんな体育大好きで、一斉に体操着に着替えます。
私も着替えます。
なんか濡れてる。
びしょびしょじゃないんですが、湿って臭い。

近くの友人に尋ねました。
「昨日誰か俺の体操着使った?」
「早川じゃね、忘れて使ってたよ」

まさかね
まさか...

あのやろう。

早川を見ると、なんだか申し訳なさそうな顔をしてるんです。

あのやろう...
文句言えないだろうが。


私だけじゃないと思うのですが、生きているとすごいことが時折起こります。
奇跡みたいな出来事が。
それは大なり小なり、悪いことも良いことも含めて。
これを誰かが運命と呼び、誰かが必然だと呼んだりしたのでしょうか。

濡れたままの体操着で体育に望み、無事こっそり洗濯機にいれたのを、なんだか思い出しました。

でもだからって早川と仲良くはならなかったですね。
ずっと、小学校卒業までなんだか気まずかったです。
むしろ気まずかったというか、早川、謝りにこいと。

待ってます。

通夜

母がなくなって、病室でわんわんと泣いた。


兄も妹も。きっと遠くにいる姉も。



葬祭の方は連絡するとすぐに来てくれた。
たった数日しかいなかった病院の個室も、別れ際はなんだか寂しかった。
ここで母が死んだ。
ふと部屋を見渡すと、シミや汚れ、使いふるされたカーテンが視界に入る。
多分、きっと、たくさんの人がこの部屋でなくなったのだろう。
母で何人目か。
でもきっとここにはまた末期の方が入るのかもしれない。
悲しみがシミや汚れのように残ったら、この部屋は真っ黒になってしまう。


母の葬儀の話は、その日の夕方にまとまった。

母の通夜は妹の自宅で行うこととなった。

通夜といって、簡素なほんの少しの身内だけが集まるものになった。

妻も、妻のご両親も駆けつけてくれた。

娘は一度だけ会わせている。

この年じゃ、おばあちゃんの記憶は残らないだろうな。

娘が母の顔を叩く。

もう叩いても起きない母をみて、あらためて亡くなったのだと項垂れ、娘を抱き締めた。